abrAsus × THINKING-HANDS
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南 和繁
アパレル雑貨ブランドabrAsus、マニアックな消費者のアイデアをカタチにするプロジェクト「SUPER CONSUMER」、オンラインセレクトショップ「SUPER CLASSIC」などを手がける。
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いしたに まさき
Webサービス・ネット・ガジェットを紹介する考古学的レビューブログ『みたいもん!』運営。02年メディア芸術祭特別賞、第5回WebクリエーションアウォードWeb人ユニット賞受賞。共著に『ツイッター 140文字が世界を変える』(マイコミ新書)『クチコミの技術』(日経BP社)など多数。
THINKING-HANDSとは?
--今回「iPhoneも入る財布」が発売されたわけですが、ブランド名が「abrAsus ×THINKING-HANDS」となっています。この「THINKING-HANDS」とはなんでしょう?
- スーパークラシック内での、僕個人のブランドですね。「手で考える、手で作っていく」という意味を込めています。僕も南さんも、商品を開発するときには必ずサンプルを作って、使ってという過程を一番大事にしているんです。頭で考えたことではなくて、使ってみての心地よさとか。それをブランド名に込めてみました。
- いしたにさんの商品を新ブランドにするというのは僕が持ちかけたんです。いしたにさんが考えた「とれるカメラバッグ」や「ひらくPCバッグ」がとてもおもしろい商品で、知名度がだんだん上がってきた。その2つの商品はスーパーコンシューマーというブランド名なんですけど、ここまで知名度が上がったらもう別なブランド名にしたほうがわかりやすいのではと思ったのです。
--一部では「いしたにさんのかばん」って呼ばれてますからね(笑)。
- 「南さんのいしたにさんのかばん」って言われたりとか(笑)。
- 今回の「iPhoneも入る財布」を作っている過程で、別ブランドにするという話が持ち上がって。これは南さんから「スーパーコンシューマーは卒業しろ」ということなんだと思いました。これからソロとして頑張っていかなければならないと(笑)。
- 僕はabrAsusというブランドがあって、いしたにさんはTHINKING-HANDSという感じで今後はやっていければと思います。
--「iPhoneも入る財布」のブランド名は「abrAsus×THINKING-HANDS」というダブルネームになっていますが、この理由は?
- 基本的に「薄い財布」の構造を使った商品なので、今回はダブルネームにしています。今後もこういうことはあるかもしれませんが、いしたにさんがアイデアを出して初めからやるものに関しては、THINKING-HANDSになります。
--なるほど。今回は「薄い財布」の要素が入っているからということですね。
- 薄い財布があるからこそできた商品ですよね。普通の財布にiPhoneを入れようとしたら、ちょっとした小さいかばんみたいなものになっちゃうんです。すでにそういう商品はあるし。逆に、iPhoneケースを拡張してカードを入れられるものもあるんだけど、それはお札とか小銭とか入らないから、結局財布は別に持つ必要がある。だったら、全部一緒にしたほうがいいんじゃない? というのが始まりです。
- すべてがまとまっていると結構心地よかったりするんですよ。あと、iPhone以外のものも入るということもコンセプトにあります。
- iPhoneサイズのモバイルバッテリーとか、駐車券とか。もらった名刺をちょっと入れておくとか。ポケットは一時的にものを入れておく場所なんです。
--レシートなんかも入れてもいいかもしれませんね。
- ポケットに入っているいろいろなものを、一時的に入れておくとスッキリしますよね。財布を開けなくても入れられるというのもポイントです。
- 領収書なんて、財布の中にいれちゃうと存在が消えて、いつの間にか財布が領収書だらけになりがちです。でも、このポケットだったら家に帰ってからすぐに中身を出せる。
--とれるカメラバッグやひらくPCバッグのときは、ダンボールでいろいろ作ったり、何度もサンプルを作って使ってを繰り返したりして長い間試行錯誤を繰り返していましたが、今回はどうだったのでしょうか?
- 僕自身はまったく設計図とか引かないですからね(笑)。そこは南さんが具体的なカタチにしてくれます。プロトタイプは僕は4つ使ってますね。
- 工場で作っているものもあるから、実際にはもっと作っていますね。僕らは欲望のまま工場に要望を伝えるんですけど、それではうまくいかないことがあって。いしたにさんにつかってもらったのは4種類。5つ目が完成形ですね。
--時間的にはどのくらいかかっているんでしょうか。
- 今回はスムーズですよ。いっぱいサンプル作ったけど。
- 1年はかかってないですね。とれるカメラバッグやひらくPCバッグに比べたら、短いもんですよ。
- これはほんと早かったですね。
- いろいろ試行錯誤はあったんですけど、元々の「薄い財布」の構造が優れているので、そこは全然問題なくて。むしろ入れ心地とか、統一感を出すためにどうしたらいいのかとか、そういうところで悩みましたね。最後の最後に、ポケットだけ別カラーにするというコンビの配色にしました。こうすることで、財布の中にもうひとつ違うものがついているんですよということがはっきりしたと思います。
- 「iPhoneも入る財布」は、iPhoneが入っていないでも、ちゃんとした財布として使えるというところがポイントです。財布はおまけの機能ではなく、メイン。だから財布としての使い勝手にはこだわりました。
--今回THINKING-HANDSの第一弾として「iPhoneも入る財布」が登場したわけですが、今後の構想はありますか?
- 思いついたものを粛々とやっていくという感じですかね。いくつかはすでに動いています。
- 実際に動いているものもあるんですが、長いんですよね。サンプルを試用しているものもありますし、「iPhoneも入る財布」より前から動いているものもあります。結局、いろいろやっているなかで、完成したものから順に発売するという感じです(笑)。うちの会社でやるものに関しては、期限を決めずに満足いくまでやる。だから、いつ製品が発売されるのかわからないんです。
- でも、そこまでやらないと長く愛されるプロダクトにならないですよ。とれるカメラバッグは発売して3年ですが、モデルチェンジする気はまったくない。ひらくPCバッグもリニューアルして1年ですが、これも変える気ないですね。
- それでもまだ売れ続けていますからね。
--今後、THINKING-HANDSから発売されるものを楽しみにしています。
- 何が出るのか、僕にもわかりません(笑)。